先日の記事ではマインドマップ作成の活用事例として、生成AIによる議事録作成について詳しく紹介しました。
今回の記事では<実践編part2>として、新規事業やプロジェクトでのアイデア出しについてのAI活用方法を紹介し、マインドマップ作成による情報整理についても詳しく解説します。
前回記事については、次のリンク先を参考にしてください。
先にマインドマップ作成の<入門編><実践編part1>の記事があり、今回が<実践編part2>という構成です。
今回の記事でも、できるだけ初心者向けとなるように、生成AIの活用方法をステップバイステップ形式で紹介していきたいと思います。ChatGPTなど生成AIへの「指示の仕方(プロンプト)」についても学ぶことができる内容となっています。
今回のテーマは「アイデア出し」です。生成AIは情報整理を得意としています。AI活用により、人間が一人では難しかった発想を生み出すことも可能です。また、マインドマップ化により「構造化」することで思考整理にも役立ちます。
この記事を読んだら分かること
・アイデア出しに生成AIを活用する方法
・生成AIでのマインドマップ作成の実践例
・生成AIを活用して情報整理をする方法
・ChatGPTでのマインドマップ作成方法
生成AIが全く新しいアイデアを生み出すことは無いのでは?
生成AIが提案した情報を基にして、人間が新しいアイデアを生むことは可能です。また、情報を整理することで人間の想像力も促進されます。
アイデア出し(ブレインストーミング)での生成AIの活用
生成AIは「何かのテーマに対してアイデアを出してもらう」「出されたアイデアを分類・整理する」の両方に活用することができます。
何かのテーマに対してアイデアを出してもらう
ChatGPTを初めて使ったときに、次から次へと回答が出されることに驚いた人は多いと思います。(私は驚愕しました)
生成AIは何かのテーマを与えて「〇〇を10個考えてください」のような指示をすれば、何かしらのアイデアを10個出してくれます。更に「追加で10個」「ユニークなアイデアを更に10個」などと指示していけば、100個でも200個でもアイデアを出してくれます。
また、ブレインストーミング(集団発想法)のように活用することも可能です。AIが出した候補からアイデアのヒントをもらうこともできます。
日本の昔話を教えてもらう
まず、「日本の古典的な昔話」を20個提案してもらいます。
<プロンプト(命令文)>
子どもが絵本などで親しんでいる昔話を20個教えてください。
生成AI回答
日本の子どもたちが絵本などで親しんでいる昔話を20個ご紹介します。
桃太郎、浦島太郎、金太郎、一寸法師、かぐや姫、舌切り雀、花咲か爺さん、かちかち山、さるかに合戦、鶴の恩返し、カチカチ山、笠地蔵、こぶとりじいさん、三枚のお札、瓜子姫とあまのじゃく、因幡の白兎、羅生門の鬼、文福茶釜、天の岩戸、分福茶釜
これらの昔話は、日本の文化や道徳観を伝える重要な役割を果たしています。それぞれの物語には、勇気、親切、知恵、努力などの価値観が含まれており、子どもたちの教育に役立っています。
20個ほど提案してもらうと、「羅生門の鬼」みたいに(私には)馴染みの薄い昔話も教えてもらえました。「三枚のお札」は子どもの時に好きな絵本だったので懐かしいです。
データベースとして保有している情報を引き出すのはAIの得意分野です。ただし、思わぬところでハルシネーション(不正確な情報)が発生することもあるので注意が必要ではあります。
小学生の好きな食べ物を提案してもらう
次に「小学生の好きな食べ物」を20個考えてもらいました。
少し思考が必要な事例として、条件を複雑にしてみます。
<プロンプト(命令文)>
「目玉焼きハンバーグ」「カツカレー」のように、2つの食べ物の組み合わせで、小学生が好きそうな食べ物の事例を20個あげてください。
生成AI回答
オムライスハンバーグ(オムライス+ハンバーグ)
チーズインハンバーグ(チーズ+ハンバーグ)
エビフライカレー(エビフライ+カレー)
チキンカツサンド(チキンカツ+サンドイッチ)
チーズカツカレー(チーズカツ+カレー)
オムそば(オムレツ+焼きそば)
コロッケバーガー(コロッケ+ハンバーガー)
カレーうどん(カレー+うどん)
ミートソースドリア(ミートソース+ドリア)
フルーツパフェパンケーキ(フルーツパフェ+パンケーキ)
ハンバーグカレー(ハンバーグ+カレー)
チーズオムライス(チーズ+オムライス)
コロッケパン(コロッケ+パン)
ソーセージピザ(ソーセージ+ピザ)
からあげ丼(からあげ+ご飯)
チョコレートパンケーキ(チョコレート+パンケーキ)
エビマヨピザ(エビマヨ+ピザ)
カレードリア(カレー+ドリア)
チーズタッカルビ丼(チーズタッカルビ+ご飯)
メロンパンアイス(メロンパン+アイスクリーム)
いかがでしょうか?これらは2つの食べ物を組み合わせた、小学生が喜びそうなメニューです。
こちらのオーダー通り「2つの食べ物の組み合わせ」の20個が提案されました。
「いかがでしょうか?」と、ドヤ顔で提案された割には少し微妙な食べ物もあります。とはいえ、「2つの食べ物を組み合わせた」「小学生も好きそう」の条件は概ねクリアしている気がします。「一瞬で20個のアイデアを考える」とかは人間には絶対に出来ない作業です。
キャラクターの名前を考えてもらう
3つ目として、当ブログのキャラクターの名前を考えてもらいました。
今回は30個考えてもらいます。
<プロンプト(命令文)>
このキャラクターの名前を考えてください。
30案考えてください。
生成AI回答
アイスパーク、デジポチ、スマートン、アイブル、ピクセルン、ブルーネット、アイクン、デジテール、バーチー、テクポチ、バイナリー、コードポチ、ブルーチップ、アルゴワン、サイバーボーイ、メカブル、クラウディ、ディジフレンド、ビットポチ、アイトロン、データポチ、ブルーAI、ナビポチ、チップル、サイバーポー、エレクス、バイトン、デジブル、プログポチ、AIボーイ
正直、8割以上が微妙な名前ですが、これは仕方ありません。業務上でも「名前決め」の企画会議は迷走することが多い気がします。何個かは良さそうに感じる名前もあります。また、一人では思いつかないようなアイデアなので参考にはなります。更に追加して50個、100個とアイデアを増やすこともできます。
次の記事でマインドマップ作成によりアイデアを構造化する方法を紹介します。アイデアを構造化することで、新しいアイデアが生まれることも多いです。
出されたアイデアの整理(マインドマップの活用)
出されたアイデアを情報整理する時にも生成AIは活躍します。
例として、先ほどの生成AIに考えてもらったアイデアをマインドマップにしてみます。
日本の昔話をマインドマップ化する
昔話を「あらすじから分類する」とかは文学とか教育学の分野になります。意識すらしたことがない人が多いと思います。しかし、AIを活用することで体系的な分類が瞬間的に可能です。
<プロンプト(命令文)>
この20個の話を、何らかの観点で4~5くらいに分類してください。
分類結果はマークダウン形式にしてください。
今回はあえて雑な指示をしてみましたが、次のような結果を回答してくれました。
あらすじなどの要素から5項目に分類されました。
これをマインドマップ化します。
マインドマップについてはChatGPTの画面上で出力することも可能ですが、初心者には少し面倒かもしれません。
今回はmarkmapというオンライン上のツールを使用します。(登録不要で無料で使えます)
このサイトにマークダウン形式のテキストを張り付けると、次のようなマインドマップが表示されます。
(この記事の後半部分で少しだけ詳しく説明します)
Claudeの場合はアーティファクト上でマインドマップを表示させることが可能です。
どうでしょうか。マインドマップ化をすることで視覚的にも分かりやすくなったと思います。
「昔話を20個教えて」「分類して」の適当な指示だったのですが、「なるほど」と感心するマインドマップが作成されました。(ちょっと凄いですよね!)
漫画やドラマ、小説なども同様に分類することが可能です。何かを創作する時は、このような分類・分析をしてから話を考えてみるのも良いと思います。
小学生が好きな食べ物をマインドマップ化する
先ほどの「食べ物20個」を分類してみます。
<プロンプト(命令分)>
20個を4~5の分類にして、マークダウン形式にしてください。
今回も雑な指示でしたが、次のようなマークダウン形式を作成してもらえました。
これを先ほどと同様の手順でマインドマップ化すると、次のようになります。
先ほどは「小学生が好きそうだ」くらいの感想しかありませんでしたが、構造化されると情報が整理されます。
今回は適当なサンプルとしてChatGPTに考えてもらったのですが、割と良い感じなのではと思います。(なので、子ども向けの食べ物としては「ハンバーグカレー」が最強な気がします)
キャラクターの名前をマインドマップ化する
先ほどの30個のキャラクター案をマインドマップにすると、次のようになります。
(手順は同じなので省略します)
AIが好き放題に考えた名前でしたが、分類することでアイデアの方向性が整理されたのでは無いでしょうか。
このマインドマップに当てはめると、「AIのすけ」は「AIや技術関連」に分類されます。
ちなみに、実際のところは「AIのすけ」という名前が先にあって、そのイメージにあったキャラクター画像をChatGPT(DALL-E3)で作成しています。
AIからは、「この名前は人工知能(AI)を擬人化し、日本の伝統的な名前の語尾「のすけ」と組み合わせることで、技術と親しみやすさを融合させています」と評価してもらっています。
色々な名前を提案してもらいましたが、引き続き「AIのすけ」でお願いします。
今回の記事で、雑多なアイデアについても、「〇〇系」と分類して構造化できるということが理解してもらえたと思います。既存情報や思考の「分類」「構造化」は生成AIを活用する上で必要なスキルとなります。
「要領の良い人」「マルチタスクが得意な人」には、とにかく情報整理が得意な人が多いです。無意識のうちに頭の中でマインドマップと同様のものを作り出して、優先順位を付けて処理しているのだと思います。
このような思考方法が苦手な人についても、今後はAI活用で情報整理を助けてもらうことが可能です。これは大チャンスだとも言えます。
ビジネスシーンでのAI活用事例
話を分かりやすくするために「昔話」「食べ物」「キャラクター」といった事例を紹介しましたが、ビジネスシーンでの具体的な活用事例について手順と共に紹介していきます。
例えば「生成AIの業務活用アイデア」を社内で広く募集したとします。
社員より、次のようなのアイデアが出されました。
<生成AIの業務活用アイデア>
メール整理、電話の初期対応、会議の文字起こし、スケジュール調整、簡単な質問への回答、データ入力の自動化、文書の要約作成、社内規則の質問対応、報告書のチェック、顧客からの問い合わせ対応、SNSの投稿案作成、プレゼン資料の下書き、新入社員のよくある質問への対応、会議の議事録作成、営業レポートの分析、社内ニュースレターの作成、製品マニュアルの簡易版作成、顧客アンケートの分析、業界ニュースのまとめ、社内文書の翻訳
「メール整理」「電話の初期対応」など20個のアイデアが出されています。(念の為に説明しておきますが、この20個の事例もAIに考えてもらっています)
このアイデア集をAI活用により「文書作成・管理」「顧客対応」などに分類し、集約結果を視覚化してみます。
次のようなプロンプト(指示文書)で指示を行います。
<プロンプト例>
生成AIの業務活用アイデアに関する以下の20個のアイデアを分析し、階層構造を作成してください。
#マインドマップ作成用にマークダウン形式で出力してください。
#中心テーマは『生成AIの業務活用アイデア』とし、主要カテゴリを5つ程度に分類してください。
#各カテゴリの下に関連するアイデアを配置し、全体で2階層の構造にしてください。
このような指示でカテゴリ分け(情報整理)を実施し、マインドマップを作成すると次のようになります。
このように分類することで、社内から出されたアイデアを分類することができました。
各部門ごとに業務内容が視覚化されて、分かりやすくなったのではないでしょうか。実際には情報整理をAIに任せて完了させるのは難しいかもしれませんが、「たたき台」として人間の作業を大幅に減らしてもらえるのは有難いです。
AIの分類結果を人間が微修正すれば効率的だと思います!!
ChatGPTでのマインドマップ作成方法
ChatGPTについては現状では出力されたデータをhtmlなどで保存して、別画面で開ける必要があります。少し手間なので、別のツールを利用して簡単に作成できる方法を紹介します。
手法としては、
1.構造化された情報をChatGPTでマークダウン形式にしてもらう。
2.「markmap」のようなオンライン上のサイトでマインドマップを作成する
という手順が初心者でも簡単な方法だと思われます。
まず、ChatGPTでマークダウン形式を作成します。
これは「マークダウン形式で作成してください」のような指示で出力可能です。
※たまに階層の「##」が「**」になっていたり違う形式で出力されることがあります。
その場合は「最上位の項目を##(中見出し)で表記してください」などと指示して修正してください。
先ほどの「生成AIの業務活用アイデア」であれば、次のようなマークダウン形式になります。
右上の「コードをコピーする」からテキストデータをコピーすることが可能です。
これをマインドマップで視覚化します。
今回はmarkmap(https://markmap.js.org/)というオンライン上のツールを使います。
登録不要で無料で使うことができます。
画面左上の「try it out」を選択します。
初期画面では左側に「プログラム例」のようなものが入力されている状態なので、すべて削除して、マークダウン形式のテキストをコピペします。リアルタイムで右側にマインドマップが作成されます。
作成したマインドマップは、下側にあるダウンロードボタンから「HTML」または「SVG」で保存可能です。
Claudeであればアーティファクト上でマインドマップも表示可能です。
また、ChatGPTでも『CANVAS』のような新機能がリリースされてるので、「コードを編集して画面上で成果物を確認」のような拡張機能も数カ月以内には追加されると予想しています。
2025年にはGPT-5のリリースも予定されているので、ますます便利になると期待しています!!
まとめ:マインドマップにより思考を構造化しよう!
今回の記事で、アイデア出しやマインドマップ作成に生成AIを活用することで効率的な情報整理、構造化が可能ということが理解できたと思います。
人間には得意不得意があります。長年仕事をしていると「情報の構造化は苦手」という人に出会うこともあります。「真面目なのに要領が悪い」という人にも、このようなタイプの人が多い気がしています。そして、このような「情報の構造化」については言葉で他人から教わるのも難しいものです。
しかし、今後は生成AIの力を借りることで「苦手な作業の効率化」が実現します。「自分の苦手な部分」を把握して、生成AIに助けてもらって効率化するのが、正しい活用方法の一つだと私は考えています。あるいは、AIを活用して日常的にマインドマップを使っているうちに、構造化がクセになって情報整理が得意になるかもしれません。これまで出来なかったことが出来るようになるのは大きなチャンスです。
ただし、口を酸っぱくして同じことばかり何度も伝えますが、AIツールをうまく活用しながら、人間が持つ思考力や創造性を磨いていくことの重要性を絶対に忘れてはいけません。紙とペンを使って、手書きでアイデアを書き出してみるのも、思考整理には有効な手段です。
紙に中心テーマを書いてみて、手書きのマインドマップで自由に連想を広げていくことで、思いもよらないアイデアが生まれることも多いです。アナログとデジタルを上手に組み合わせることで、人間の思考は促進されると私は考えています。
引き続き、ブログ記事として業務効率化や時短につながるAI活用方法を紹介していきます。
AI活用で理想を現実のものにして、幸せな生活を手に入れましょう。
求めている未来は目の前にあります!!AIのすけでした。
情報を構造化するのが大事なんだね。
生成AIを活用して新しいアイデアも生み出しましょう!!