生成AI技術が急速に進化するなかで、仕事で求められるスキルも大きく変化しています。AI活用にあたって、「どの作業を」「どのツールを」「どのように使って」作業を行い、「業務完了させるか」を認識しておく必要があります。これが「AIを活用するためのスキル」となります。
今回の記事では、AI時代に必要不可欠な4つの主要スキルについて詳しく解説します。
これらのスキルを磨くことで、AIを活用しながら自分の市場価値を高め、キャリアアップにもつながると考えられます。もしくは、大幅な時短により生活の品質向上を見込むことができます。
便利なAIツールの使い方さえ覚えれば、一瞬で完成するのでは?
AIツールの使い方も大事だけど、「どう活用するか」が大事なのです。
作業工程の構造化と細分化能力-何の作業をAIに任せるか
まず、AI時代では仕事の進め方そのものを設計する能力が極めて重要になります。
具体的には、大きなプロジェクトや複雑なタスクを小さな単位に分解する能力です。それぞれの段階でAIと人間の役割を明確に定義することが、今後のAIスキルの一つなのです。
AIは与えられたタスクを効率的にこなすことはできます。全く同じ作業の繰り返しでも、やり直しでも、それこそ機械的に文句も言わずに進めてくれます。
しかし、プロジェクト全体を俯瞰し、最適な作業フローを設計することは苦手です。作業フローが無い状態では、全体の進捗状況を把握するということも出来ません。
「作業工程の構造化、細分化」といった能力を向上させることで、AIの力を最大限に活用しつつ、プロジェクト全体の効率と質を高めることができます。
作業工程の構造化の具体例
例えば、商品開発のプロジェクトを例にして考えてみましょう。
このプロジェクトは、以下のような「大きく5工程」に分かれています。
- 市場調査
- アイデア出し
- プロトタイプの設計
- 製造準備
- 販売・マーケティング
これをさらに細分化し、25工程に分けて考えてみます。
- 市場調査:
1.顧客ニーズの分析(AIツールでアンケートデータの集計)
2.競合製品のリサーチ(AIで競合情報を自動収集)
3.市場トレンドの分析(AIによるソーシャルメディア解析)
4.データの整理とまとめ(人間がデータの重要点を抽出) - アイデア出し:
5. 過去の成功事例の収集(AIで過去のプロジェクトの分析)
6. アイデアブレスト(人間が集まって議論)
7. AIによるアイデア提案(生成AIにより参考アイデアを生成)
8. 提案されたアイデアの評価と選別(人間が選別) - プロトタイプの設計:
9. 設計図の作成(AIによる基本的な設計図の生成)
10. デザインの修正とブラッシュアップ(人間のクリエイターが微調整)
11. 使用材料のシミュレーション(AIによる材料特性のシミュレーション)
12. 試作品のレビュー(人間による実地確認) - 製造準備:
13. サプライチェーンの管理(AIで供給業者の最適化)
14. 製造プロセスの計画(AIによるスケジュール最適化)
15. リスク分析と対策立案(人間が最終的な判断)
16. 製造設備の確認(人間による現場確認) - 販売・マーケティング:
17. ターゲット顧客のセグメンテーション(AIで顧客データ分析)
18. マーケティングコンテンツの生成(AIを活用したコンテンツ生成)
19. 広告キャンペーンの立案(人間が全体のストーリーを構築)
20. 広告の最適化(AIでA/Bテストの結果を解析)
21. 顧客からのフィードバック収集(AIでソーシャルメディアの意見収集)
22. 販売データの分析(AIで売上データをリアルタイムで解析)
23. 改善策の提案(AIによる提案)
24. 改善策の決定(人間の判断)
25. 次回戦略の計画(人間とAIの共同で戦略構築)
そして、この工程をマインドマップ化すると、次のような図になります。
このように、工程を細分化することで、AIが得意な部分(データ収集・分析や反復的な作業)を効率的に任せつつ、人間の判断や創造性が求められる部分に集中することができます。
実務上では更に細かく作業を分解して、「どの部分をAIに任せられるか」を検討していきます。こういった作業を行うことで、プロジェクト全体の進行がスムーズになり、効率と質の両面で向上が期待できます。
個人でもチームでも、何かのプロジェクトを始める前には、作業のフローチャートやマインドマップを作成するのがおすすめです。
各段階で「この作業はAIに任せられるか」「人間の判断が必要か」が明確になります。
MapifyやFeloなど、フローチャートやマインドマップを作成するのに便利なAIツールもあります。また、Claudeのアーティファクト機能なども活用できます。
マインドマップツールについては、改めて紹介していきます。
AI活用の判断と選別スキル
「資料作成」「文字起こし」「翻訳」など数多くのAIツールが日々登場し、新機能が追加されています。どのツールをどのタイミングで使うべきか、的確に判断する能力が求められます。
定期的にAI関連のニュースやSNSをチェックし、最新のツールの特徴や利用事例を把握しましょう。
気になるAIツールがあれば小規模なタスクで試してみて、使い勝手やデメリットを理解しておくことも大切です。また、同僚や同業種のネットワークとAIツールの活用について情報交換を行い、実際の使用体験を共有し合うことも有効です。
言語化と明確な指示出しの能力
AIに適切な指示を出し、望む結果を得るためには、自分のアイデアや要求を明確に言語化する能力が不可欠です。
「過去の事例を参考にして良い感じで作ってください」みたいな雑多な指示でも何かの回答はありますが、実務での活用は難しいでしょう。
AIは与えられた指示に基づいて動作します。曖昧な指示は不適切な結果を招き、時間の無駄となります。明確で具体的な指示を出せれば、AIの力を最大限に引き出すことができます。望む結果が得られなかったときにプロンプト(指示文)を修正することも含めて、「言語化」が必要なのです。
この「プロンプト作成のコツ」というテーマでだけで1冊の本が販売され、長時間のYouTube解説動画が作成されて、優秀なプロンプトは有料で販売されているくらいAI活用の根幹となる要素です。
AIに指示を出す前に、期待する結果を具体的に書き出してみましょう。その結果を指示を出すときに参考資料とするか、プロンプト(指示文)に盛り込んでおくと精度が高まります。
業界特有の表現を避け、できるだけ明瞭で一般的な言葉を使用します。(独自の用語を使用する場合には、プロンプトまたは参考資料に定義を盛り込みます)
また、他にも具体例やサンプル、ひな型があれば、プロンプト(指示文)に含めることで、AIの理解を助けることができます。
思考と判断のスキルの重要性
複雑な状況を分析し、倫理的な観点も含めて総合的に判断を下す能力は、AI時代においても人間にしかできない重要なスキルです。
AIは大量のデータを処理し、パターンを見出すことはできますが、文脈や倫理的な考慮、長期的な影響を踏まえた判断は苦手です。また、社風や人間関係など「空気を読む」という配慮も苦手としています。このような点も含めて「判断する」スキルが高ければ、AIの分析結果を適切に解釈し、最終的な意思決定を行うことができます。
日々のニュースや業界動向に触れる時に、単に情報を受け取るだけでなく、「なぜそうなったのか」「どのような影響があるか」を考える習慣をつけましょう。
決断を下す際は、短期的な利益だけでなく、長期的な影響や倫理的な側面、社風や人間関係なども含めて考慮する練習をします。ディベートやブレインストーミングなども積極的に活用し、多角的な思考力を磨きましょう。
まとめ:継続的なスキル向上がカギ
今回紹介したスキルの多くは生成AIの登場により新しく求められることになったスキルであり。なかなか一朝一夕に身につくものではありません。
ほとんどの人が習得していないスキルなので、まだ生成AIの普及が始まったばかりの「今がチャンス」なのは間違いありません。
また、プログラムなど他のスキルと比較して大幅に習得時間が少ないというのは間違いありません。
日々の業務の中で意識的に実践し、継続的に磨いていくことが重要です。
また、これらのスキルは互いに関連しており、総合的に向上させていくことで、AI時代における自分の市場価値を大きく高めることができるのです。
AIで楽ができるかと思ったら、やっぱり勉強なんだね。
今のうちに勉強しておけば大丈夫です。
当ブログも皆さんのお手伝いをします!!